今回紹介する作品はグロテスクな表現がある作品ですので、苦手な方はご注意ください。
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ELTEAです。
読んだら確実に胸くそ悪くなることが分かっていながらも、殺人事件を取り扱ったサスペンス作品などを読みたくなるときがあります。
一体どういう心理が働いて読みたくなるのか、不思議ではあります。
今回紹介する「ミュージアム」という作品は、非常に残忍な手段を使う殺人鬼とそれを追う刑事である主人公の物語です。
では、紹介していきます。
ミュージアム
著者/作者 | 巴 亮介 |
発行元 | 講談社 |
設定
雨合羽を被り、カエルの被り物をしている正体不明の殺人鬼が引き起こす事件を主人公が追いかけることとなります。
とにかく残忍な手段で事件を起こす犯人。
引き起こした事件に「○○の刑」という名称をつけた紙を現場に残すという、かなり確信犯的に事件を起こしていることが見て取れます。
そんな犯人を追う刑事である主人公には妻と息子がいます。
ただ、事件対応で家を空けることが多い主人公に、家庭関係は良好とは言えません。
家庭状況に頭を抱える主人公。
そんな時、被害者の身元から一つの共通点に辿り着き、最悪なことに主人公の家族も共通点に当てはまってしまいます。
主人公は犯人を確保し、家族を助けることができるのか。
という設定です。
私刑の一部を紹介
ドッグフードの刑 | 被害者を生きたまま鎖に繋ぎ、腹を空かせた獰猛な犬を解き放ち、食わせる。 |
母の痛みを知りましょうの刑 | 被害者を生きたまま縛り付け、被害者の出生時体重分肉体をそぎ落とす。 |
均等の愛の刑 | 被害者の身体を縦に両断し、妻と愛人だった女性に宅配便で届けた。 |
私刑の執行方法に異常なこだわりを持つ犯人。
泣き叫ぶ被害者を前にしてもまったく動じないという犯人の描写もあり、かなりの異常性を感じさせられます。
そして物語が進み、犯人の動機や私刑の内容について明かされると、非常に胸くそ悪くなります。
この犯人の異常性が作品の最大の特徴と言えるでしょう。
感想
一話目から残忍な事件を見せられる作品となっています。
雰囲気としてはモーガン・フリーマンとブラット・ピット主演映画の「SE7EN/セブン」という作品に近いと感じました。
「SE7EN/セブン」との大きな違いは作品の終わり方ですが、「ミュージアム」も「SE7EN/セブン」もよくもまあここまで残忍な事件を表現できるなと感じさせられました。
「ミュージアム」は3巻で完結しているため、読み切るまで時間はかかりません。
絵も上手く、コマ割りなどもとても読みやすい構成となっていてあっという間に読み切ってしまいます。
個人的にはもう少し引き延ばしても良かったのではないか、と感じるくらいのテンポで展開していった印象です。
被害者の深掘りがあまりされないところがやや勿体ないと感じるところで、物語が進むと事件の内容よりも犯人と主人公のやり取りがメインになってくるので、事件の扱いがぞんざいになってきます。
事件の内容や被害者に対して、もう少し情報が欲しいなというのが読了後の感想ではあります。
ただ世間における事件というのは、当事者や当事者家族でもない限り、深くは知ろうとしないもので、ある意味でリアルとも言える気がしますね。
オススメしたい人
・サイコな作品が好きな人
・グロテスクな表現が苦手じゃない人
・胸くそ悪くなる展開が好きな人
猟奇的事件を取り扱った本作は、例えば「名探偵コナン」とかのように犯人を暴くことがメインではないと感じます。
もちろん犯人に辿り着くまでの捜査パートはありますし、事件の核心に迫るまでの主人公の推理力や行動力というのは目を見張るものがあります。
ただ、やはり本作品の特徴は陰鬱とした胸くそ悪い雰囲気だと思います。
グロテスクな表現が多いため、苦手な人は避けた方がいい作品ではあります。
まとめ
人の異常性を感じる作品となっています。
そして、そんな異常な人間がすぐそばに潜んでいるのではないか、と感じさせられる怖さもあります。
何でもない日常が、ある日突然崩れることがあるということをまざまざと思い知らされました。
ぜひ読んでください、とは言いづらいものをテーマにしている作品ですが、3巻で完結しているので手に取りやすいと思いますし、とてもクオリティが高い作品となっていますので、読んだことがない方は手に取ってみてもいいのではないでしょうか。